大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台高等裁判所 昭和28年(う)6号 判決

被告人がたまたま不在の間之と同居生活をする妻がその小遣銭名義であろうと、病気見舞名義であろうと他人より金員の交付を受け、その後右事実を被告人において容認し、これがその職務に関し授受されたものである以上収賄罪が成立するものと解すべきところ原判示第三、第五の各事実はその挙示する証拠を綜合すれば認定可能であつて原判決の理由にくいちがいがあるとは認められない。また証拠の取捨判断は原審裁判官の自由裁量に属するところであつて、原判決が小林清吉より妻よしゑの病気見舞名義で同人の手を経て金一千円の交付を受けた旨認定したのは証人小林清吉の原審第二回公判廷における供述記載を措信し採用した結果に外ならないのであつて右認定に反する証拠は結局採用しないのである。なお弁護人は金二千円の病気見舞とすれば通常儀礼の範囲内で、犯罪の成立を阻却すると主張するが若し公務員の職務に関係がなかつたならば社交上の慣習儀礼と認めらるべき程度の贈物と雖、苟も公務員の職務に関し授受せられる以上賄賂罪の成立すること勿論であつて、その額の多少公務員の社交上の地位若くは時期の如何を理由として公務員の私的生活に関する社交上の儀礼に依る贈答に止まるものと認めなければならないという理由はない。しかも右金二千円の授受は被告人の職務を離れた私交上の授受とは到底認め難い。

(後略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!